日本畜産学会報
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飼料中脂肪含量が成長中のヒナの脂質代謝におよすぼ影響
田中 桂一北原 和滋重野 嘉吉
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1979 年 50 巻 2 号 p. 100-107

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抄録

飼料中の脂肪含量が成長中ヒナにおける肝臓での脂質合成能におよぼす影響について研究した.肝臓切片におけるAcetate-1-14C,あるいはGlucose-U-14Cからの脂質合成能は飼料中の脂肪含量が増加するに伴って,統計約に有意に減少を示した.肝臓cytoplasma中のNAPP-isocitrate dehydrogenaseの活性は,飼料中の脂肪含量の増加に伴って,増加を示した(P<0.01).脂肪無添加飼料を給与した時,NAD-malic dehydrogenaseの活性は低い値を示し(P<0.05),一方glucose-6-phosphate dehydrogenaseの活性は高い値を示した(P<0.05).血清中のnon-esterified fatty acideの濃度は,飼料中の脂肪含量の増加に伴って,増加を示した(P<0.01).飼料中の脂肪含量の増加に伴うヒナの肝臓における脂質合成能の低下に関して検討し,その結果,脂肪含量の増加に伴う,血.清中のnon-esterified fatty acidsの増加が,ヒナの肝臓における脂質合成能の低下に関係のあることを示唆した.また,肝臓および血清中のtriglycerideおよびtotal cholesterolの濃度は,飼料中の脂肪含量の影響を受けたが,phospholipids濃度には,大きな影響は観察されなかった.

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