日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
山羊乳の酸性ホスファターゼに関する研究:分子量ならびに阻害剤と賦活剤の影響
葛谷 泰雄棚橋 保金丸 義敬
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 50 巻 7 号 p. 499-506

詳細
抄録

山羊乳からアンバーライトCG-50 (NH4+型)処理,セファデックスG-100のゲルろ過およびCM-セファデックスC-50カラムクロマトグラフィーによって比活性8.2単位の酸性ホスファターゼを精製した.セファデックスG-100のゲルろ過法による分子量は約43000であった.酵素標品はF-, Al3+,若干の重金属および酸化剤によって阻害された.Hg2+, Zn2+およびAl3+によって阻害された酵素活性はEDTAの添加によって回復した.またHg2+によって阻害された酵素活性は2-メルカプトエタノールの添加によって回復したが,Zn2+およびAl3+によって阻害された酵素活性は2-メルカプトエタノールの添加によって影響されなかった.酵素活性はキレート試薬によって阻害されなかった.pH 3.0, 4.8および6.9において酵素活性はSH基修飾試薬により,ほとんど影響を受けなかった.還元試薬のうち一部は酵素活性を賦活する性質が認められた.しかし,若干のSH基修飾試薬によつて阻害された酵素活性はL-システインの添加によって影響されなかった.山羊乳および牛乳の酸性ホスファターゼを比較すると,分子量はほぼ同じであり,また酵素活性に及ぼす賦活剤および阻害剤の影響については同じような傾向を示した.

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top