日本畜産学会報
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サイレージと濃厚飼料を給与した牛のルーメン発酵の経時的変化に及ぼすモネンシン添加の影響
小林 剛松本 光人板橋 久雄
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1982 年 53 巻 8 号 p. 528-534

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抄録

ルーメン発酵に及ぼすモネンシン添加の影響を去勢牛(体重約250kg)4頭を用い,1期3週間とする反転試験法により検討した.添加区ではモネンシンを濃厚飼料と混合して40ppmとした.濃厚飼料とグラスサイレージをそれぞれ2kgおよび10kgづつ,1日2回給与した.ルーメン液を各期の最終日に給餌直前と給餌後6時間にわたり経時的にフィステルにより採取し,分析に供した.1)プロトゾア数は,モネンシン添加区では,各採取時刻を通じて対照区の50~60%に減少したが,種属構成には両区で差異は認められなかった。両区とも,採食により総数が減少し,その後漸増する類似の経時変化パターンを示した.2) 浸透圧は,採食に伴い上昇したが,添加区で常に低かった.3) アンモニアア濃度は,両区とも採食1時間後にピークを示したが,1~6時間後の添加区での濃度は,対照区の50~80%に減少した.4) メチルアミン濃度は,両区とも採食4時間後にピークを示したが,4,6時間後の添加区での濃度は,対照区のそれぞれ74%,50%に減少した.5) 総VFA濃度は,添加区の方が,対照区よりも低い傾向を示した.プロピオン酸のモル比率は,添加区で増加し,酪酸のそれは減少した.酢酸のモル比率には,両区で明確な差異は認められなかった.

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