日本畜産学会報
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無麻酔下におけるウサギの血圧およびその変動性
勝田 新一郎田場 典治細見 弘
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1985 年 56 巻 12 号 p. 954-961

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抄録

意識下,無拘束下のウサギについて,6時間にわたり平均血圧(MAP6h)を測定し,その平均値および変動性を検討するとともに,合わせて3分間の平均血圧(MAP3m)のそれらと比較検討した.左鎖骨下動脈よりカテーテルを大動脈弓に慢性的に留置した9匹の健康なウサギの平均血圧を,トランスデューサおよびA/D変換器を介して1秒ごとに約6時間,コンピュータでサンプリングした. MAP6hの各記録における平均値および標準偏差は,それぞれ73.4~99.2mmHg,5.7~10.0mmHgと広範囲に分布したが,標準偏差は平均値の増大につれて有意な減少を示した(P<0.01).各記録において,MAP3mの平均値とMAP6hの平均値にはほとんど差が認められなかったが,分散はMAP3mの方が有意に小さかった(P<0.01).18例中9例において,MAP6hのヒストグラムは正規分布を示さず,最頻値での尖鋭化,右方への偏位,さらに2峰性の分布も認められた.MAP3mのヒストグラムは,ウサギが安静状態にあるときは,ほとんどが正規分布を示したが,体動にともない左右への偏位がみられた.上記の結果より,圧反射系は血圧が正常レベル(90mmHg付近)にあるとぎに最もその機能を発揮し,また,短時間(3分間)の血圧調節機能は,長時間(6時間)のそれより強力であると考えた.

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