1986 年 57 巻 12 号 p. 1000-1009
鶏ヒナの膵液を採取する新しい方法を開発した.すなわち,麻酔した鶏ヒナの十二指腸を膵管開口部の前後で切断してTygonチューブを設着し,低速ポンプを用いて生理食塩水を連続的に流入洗浄することにより,分泌された膵液は生理食塩水と腸液との混合物として採取される.この方法では,膵液消化酵素の分泌防害や不規則的な分泌は見られなかった.アミラーゼ,トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの分泌は生理食塩水またはグルコース,メチオニンおよびリジンなどの消化最終産物を翼下静脈に注射した後に相対的に低い安定した反応として観察された.コレシストキニン投与により膵液酵素分泌はすばやく反応し,この反応は投与した量に比例した.またコレシストキニンは,アミラーゼおよびトリプシノーゲン分泌よりキモトリプシノーゲン分泌を選択的に促進するようであった。コレシストキニンをリジンとともに投与するとコレシストキニン単独投与に比して,アミラーゼ,トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン分泌が増加した。これに反し,コレシストキニンをグルコースとともに投与するとコレシストキニン単独に比して,アミラーゼ分泌が増加した.