1986 年 57 巻 12 号 p. 978-984
日本在来種ヤギ4頭を用いて,採食と運動の負荷に伴う心拍数(HR)と熱産生量(HP)の関係を求めるとともに動静脈血酸素濃度の測定を加え,負荷条件による両者の関係における差異を検討した.1) HRとHPとの関係には,いずれの負荷条件においても高い相関があり,また,HRによるHP推定に伴う誤差(PE,Sy•x/y,%)も5-7%と小さなことを確認した.2) しかし,回帰係数には両負荷区間に明らかな差異が認められ,この違いは,主として運動時の静脈血酸素濃度の低下に伴う動静脈血酸素濃度差の増大によるものであった.3) 相対心拍率(RHR)法を用いて採食区と運動区を統一したヤギのHP推定式を提示するとともに,HP推定式を作成する際の負荷条件等について考察した.