日本畜産学会報
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無細胞反芻胃液の蛋白質分解活性に及ぼす繊毛虫類の影響
新地 修士伊藤 鋭一阿部 又信神立 誠
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1986 年 57 巻 2 号 p. 89-96

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抄録

反芻動物の反芻胃液中に繊毛虫類の細胞外蛋白質分解酵素の存在を明らかにすることと,その活性を検討するために,山羊と牛の反芻胃液より遠心分離法で無細胞反芻胃液(CFRL)を調製して蛋白質分解活性を測定した.その結果は以下に示す通りであった.1, 山羊1頭を有繊毛虫期(通常期,CV期)と無繊毛虫期(DF期)に分け,CFRLの蛋白質分解活性を検討した結果,CV期においては飼料給与により活性が著たく大きくなるのに対して,DF期では変化なかった.2, CFRLをo-iodosobenzoic acid(o-IB)で酸化すると蛋白質分解活性は小さくなり,dithiothreitol(DTT)で還元すると大きくなった.3. CFRLの蛋白質分解活性は飼料給与後1時間前後で最大となり,その後比較的短時間に低下した.4. CFRLの各種蛋白質の分解活性はカゼイン,大豆蛋白質粉末およびグルテンの順になり,ツェインはほとんど分解されなかった.

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