日本畜産学会報
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乳牛における飼料給与の方法が第一胃内発酵, 血液性状および採食行動に及ぼす影響
佐藤 博工藤 吉夫三島 哲夫柏木 甲
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1987 年 58 巻 6 号 p. 461-466

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抄録

第一胃フィステル装着の泌乳中期の乳牛3頭を用いて給餌方法の影響を調べた. 給餌方法として (1) 濃厚飼料の給与を2回/日とし, 乾草とコーンサイレージを自由採食させる方式 (2回給餌),(2) 濃厚飼料を4回/日の給与とし, 乾草とサイレージを自由採食 (4回給餌),(3) 濃厚飼料, サイレージ, 乾草を42: 18: 40 (乾物比) で混合して自由採食 (混合給餌) の3方式につき, ラテン方格法で2週間ずつ飼養して採食量および産乳性への影響をみるとともに24時間にわたる第一胃内性状, 採食行動および12時間にわたる血液性状の変動について調べた. 乾物摂取量の平均は, 2回, 4回給餌および混合給餌につき, それぞれ17.7, 18.0および18.9kg/日であった. 同様に1日当りの採食時間は234, 261および323分, 反芻時間は446, 453および498分であった. 2回から4回給餌になると第一胃内pHの変動が小さくなり, 混合給餌ではこの傾向がより明瞭になった.第一胃内のアンモニア濃度が著しく上昇する頻度も2回給餌で最も高かった. VFA濃度には明瞭な差を認めなかったが, 2回給餌では酢酸/プロピオン酸比率の低下する頻度が高かった. 2回および4回給餌では日中に血漿グルコース濃度が大きく低下したが, 混合給餌では変化が小さかった. 濃厚飼料給与回数の増加および混合飼料の自由採食による飼養法は採食量の増大, 乳脂率の改善, 第一胃内性状および血漿成分の恒常性維持などに有効なことが判明した.

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