1989 年 60 巻 5 号 p. 484-490
育成初期における日本ウズラの筋肉蛋白質代謝回転速度について遺伝的パラメータの分析を行なった。代謝回転速度はNτ-methylhistidine (Nτ-MH)の排せつ量により測定し,遺伝的パラメータは両親の分散共分散成分により推定した。
ウズラの育成期におけるNτ-MH排せつ量,筋肉蛋白質の分解速度(Kd)および合成速度(Ks)は2週齢においては父内母家系間で,4週齢においては父家系間で有意差が見られ,両親の分散成分によるそれぞれの形質の遣伝率は2週齢で.49±.36, .55±.25および.60.26, 4週齢で.46±.25, .65±.16および.25±.21と推定された。各形質間の遺伝相関係数を計算した結果,Ksと平均一日増体量,成長速度および飼料効率との間は2週齢および4週齢共に正の高い相関を示し,KsがKdに比べて,成長や飼料効率と深い関連を有していることが示唆された。
これらの結果から,筋肉蛋白質代謝回転速度は遺伝的支配を受けていることが明らかとなり,さらに,それらの代謝速度を選抜の指標として利用し得ることが示唆された。