日本畜産学会報
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北海道の乳用牛群検定記録における種雄牛と雌牛の同時評価による遺伝的および環境的トレンドの推定
鶴田 彰吾鈴木 三義光本 孝次
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1990 年 61 巻 12 号 p. 1051-1056

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抄録

乳用牛群検定記録を使用して乳量および乳脂量の遺伝的ならびに環境的トレンドを推定し,北海道における乳牛の改良傾向について検討した.
分析には,北海道乳牛検定協会のファイルから,検定農家10,553戸において1975年から1988年までに分娩した757,615頭のホルスタイン種検定雌牛の全産次記録を使用した.Animal Modelによる種雄牛と雌牛の同時評価から推定した育種価および牛群•年次効果の各年次平均値を用いて遺伝的トレンドおよび環境的トレンドを推定した.
雌牛の分娩年が1982年から1988年までの期間における環境的トレンドの年当り変化量は,乳量で136.8kg,乳脂量で5.20kgの増加を示した.また,同期間における遺伝的トレンドを雌牛の育種価の平均でとらえた場合には,乳量で73.2kg,乳脂量で2.50kgの増加を示し,また種雄牛(父牛)の推定伝達能力平均でとらえた場合には,乳量で59.0kg,乳脂量で1.94kgの増加を示した.一方,雌牛の誕生年に対する遺伝的トレントを雌牛の育種価平均でとらえた場合,1981年から1986年までの年当り変化量は,乳量で88.1kg,乳脂量で3.15kgと推定された.雄牛の誕生年に対する雄牛の育種価平均から推定した年当り変化量は,1979年から1989年までの期間において乳量で82.1kg,乳脂量で2.34kgとなり,雌牛の分娩年に対する種雄牛の年当り変化量よりも少なかった.

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