1990 年 61 巻 2 号 p. 145-149
供試牛はホルスタイン種去勢牛6頭で,肥育状態の違いにより,高仕上げ体重(H)区および低仕上げ体重(L)区の各々3頭に区分けし,正常飼料給与時および絶食時にノルアドレナリン(NA)負荷試験を行なった.その結果,両区ともNA負荷5分後にヘマトクリット値が著しく上昇した.血漿グルコース濃度は,NA負荷前では両区間で明らかな差はみられなかったが,NA負荷5分後両区とも著しく上昇し,その程度はH区が大きかった.しかし,絶食時にはNA負荷による血漿グルコース濃度の上昇程度は鈍化した.血漿遊離脂肪酸(FFA)濃度は,両区ともNA負荷によりやや上昇した.FFA濃度は,絶食により著しく増大し,またNA負荷時にさらに上昇し,その程度はH区で大きい傾向を示した.血漿インシュリン濃度はNA負荷前でH区がL区より高く,NA負荷による上昇も著しかった.絶食時には,両区ともNA負荷前の血漿インシュリン濃度は低く,NA負荷による上昇も正常飼養時に比べ弱く,とくにL区でその傾向は顕著であった.血漿クレアチンフォスホキナーゼ(CPK)値は,両区ともNA負荷による変化はみられなかった.