日本畜産学会報
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粗飼料のみを給与または濃厚飼料を多給されたメンヨウにおけるエルファゼパムの採食促進作用
松井 徹北川 晴茂藤原 勉春本 直
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1991 年 62 巻 11 号 p. 1043-1047

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抄録

エルファゼパムによる採食促進作用を,粗飼料のみを給与した場合と,濃厚飼料を多給した場合について比較した.まず3頭の雌メンヨウに,スーダングラス乾草を飽食させ,3×3のラテン方格に割り当て,0.05,0.1mg/kg体重のエルファゼパムまたは溶剤(エチルァルコール)を1日に2回,7日間にわたり経口投与した.ついで,これら3頭のメンヨウ中2頭に,大麦およびフスマ主体のペレッ卜飼料を飽食させ,5日間,エチルアルコールを経口投与し,その後7日間,0.1mg/kg体重のエルファゼパムを,1日に2回経口投与した,いずれの飼料給与時にも,エルファゼパムは採食量を増加させた.エルファゼパムの採食促進作用は,濃厚飼料多給時には7日間持続したが,一方粗飼料給与時では投与5日目には消失した.これらの結果から,エルファゼパムの採食促進作用は,給与飼料の種類によって異なることが明らかとなった,エルファゼパムの作用は,濃厚飼料飽食時のように,エネルギー供給が要求量を越える場合には持続的に認められるが,組飼料のみを給与し,第一胃内消化物の滞留が,採食を制限していると考えられる場合には,エルファゼパムの消化管内容物の通過速度減少作用のために,その採食促進作用が生じにくい可能性が示唆された.

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