日本畜産学会報
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めん羊のルーメン内硝酸代謝および血中メトヘモグロビン形成に及ぼす原虫の影響
中村 豊吉田 條二
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1991 年 62 巻 12 号 p. 1165-1170

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抄録

原虫が不在の場合と存在する場合のルーメン内での硝酸,亜硝酸の消失速度並びに血中MHb形成量の相違にっいて検討した.原虫が不在の場合,ルーメン内の硝酸は投与1時間後に8~21mg/dl認められ,3~5時間後に消失した.亜硝酸は,投与1~2時間後に最高値8~13mg/dlを示し,4~5時間後に消失した,血中MHbは,投与3~4時間後に最高値となり,全Hb中35~50%を占め,これ以後減少したものの,8時間後に10~16%認められた.これに対し,原虫が存在する場合には,ルーメン内の硝酸は投与2時間後に消失し,また亜硝酸は,原虫不在の場合にくらべ,最高値が低く,かっ消失も速かった.血中MHbは,投与3~4時間後に最高値8~30%を示し,また8時間後には0.2~4.5%となり,原虫不在の場合よりも低いレベルで推移した.以上の結果から,無原虫動物よりも有原虫動物の方がルーメン内の硝酸,亜硝酸の還元が速く,亜硝酸蓄積量が少量となり,このために血中MHb形成量が低下するから,硝酸中毒発生の危険性が少なくなる可能性があると推定された.

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