日本畜産学会報
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牛項靭帯,大動脈および肺を素材としたピリジニウム環含有架橋アミノ酸の分離調製
中村 文彦須山 享三
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1991 年 62 巻 2 号 p. 186-193

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抄録

エラスチンの代表的ピリジニウム環含有架橋アミノ酸であるデスモシンおよびイソデスモシンと共に,最近構造が明らかにされたネオデスモシンおよびアロデスモシンを価値の低い牛の項靭帯,大動脈および肺から分離調製する方法について検討した.
加水分解物から架橋アミノ酸を分離する過程において,活性炭カラムを用いることにより,架橋アミノ酸の相互分離と共に,中性アミノ酸の大部分を除くことができた.活性炭カラムにより除去できなかった疎水性アミノ酸は,大口径シリカゲルカラムにより除去できた.デスモシンおよびイソデスモシンは,シリカゲルの分取カラムによる,アンモニア系の溶媒を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により相互に分離し,それぞれ65%以上の収率で調製された.活性炭カラムで分画されたネオデスモシンおよびアロデスモシンは,酢酸系の溶媒を用いたセルロースカラムクロマトグラフィーおよびシリカゲルの分取カラムを用いたHPLCにより,精製することができた.

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