日本畜産学会報
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スカンジナビアの粘質酸乳"ヴィリー"より分離した莢膜性粘質物産生Lactococcus lactis subsp. cremorisの抗腫瘍活性
北澤 春樹戸羽 隆宏伊藤 敞敏熊野 伸子足立 達山口 高弘
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1991 年 62 巻 3 号 p. 277-283

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抄録

抗腫瘍活性を示したスカンジナビアの粘質酸乳"ヴィリー"中の活性成分を検索する目的の一環として,ヴィリーより莢膜性粘質物産生Lactococcus lactis subsp. cremoris (L. cremoris KVS 20)を分離し,その菌体の抗腫瘍活性をSarcoma-180 (S-180)腹水および固型腫瘍系で検討した.その結果,腫瘍移植後連日9日間の腹腔内投与で両腫瘍系において腫瘍増殖抑制効果が認められた.50mg/kg投与では,腫瘍増殖が有意に抑制され,平均生存日数(WMST)が増加した.一方,L. cremoris KVS 20はin vitroにおいて,S-180腫瘍細胞に対して直接細胞障害活性を示さなかった.これらの結果より,L. cremoris KVS 20の腫瘍増殖抑制効果は宿主免疫の増強を介して誘導されるものと考えられた.

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