日本畜産学会報
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豚舎汚水処理活性汚泥からの脱窒細菌の分離ならびに脱窒素のための炭素源と温度
柿市 徳英石崎 芳彦富田 修平伊藤 整松永 敏幸押田 敏雄鎌田 信一林 正利大塚 宏治内田 和夫
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1992 年 63 巻 1 号 p. 38-46

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抄録

豚舎汚水処理活性汚泥から分離した3株(NK-2G, NK-69およびNK-18)と標準株であるPseudomonas sp. IFO 12442 (PS)の脱窒細菌を用いて脱窒素のための炭素源と温度について検討した.炭素源はL-アスパラギン(L-As),酢酸ナトリウム(Na-Ac),乳酸(Lac-Ac),グルコース(Glu),エタノール(E-OH)およびメタノール(M-OH)の6種類を供試し,温度は10,20および28°Cの3段階について調べた.その結果,脱窒素に利用しやすい炭素源は,L-AsとNa-Aであった.温度についてはNK-18株を除き28°Cが最も高い脱窒速度を示し, NK-18株では20°Cで最高値を認めた.また,PS株とNK-2G株は他の2株に比べ,脱窒速度,脱窒効率および集菌率が高く,脱窒素のための温度範囲および炭素源の範囲が広かった.一方,活性汚泥由来株の3株ともにCDC groupVD-1と同定され,旧分類でのAchromobacter属であった.
そこで,今後は本成績を踏まえて,活性汚泥由来株の中で最も能力の高いNK-2G株を主体にバイオリアクターとして応用するための検討を行いたい.

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