日本畜産学会報
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泌乳ヒツジにおけるウシソマトトロピン注入に対たる乳腺血流量と泌乳反応
押部 明徳Jim M GOODENPeter C WYNN
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1995 年 66 巻 12 号 p. 1002-1006

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抄録

泌乳ヒツジの外腸骨動脈周囲にTransit-time超音波血流量計を装着し,5分間隔で168時間(試験第1日の午前6時から第8日の午前6時)の乳腺血流量を測定した.右側頚静脈カテーテルから生理食塩水を11.3ml/hの速度で26時間(第1日の午前8時から第2日の午前10時)注入し,その後recombinantウシソマトトロピン(rbST)を20nmol/hの速度で104時間(第2日午前10時から第6日午後6時)注入した.血漿成長ホルモン(GH)濃度は,rbST投与開始直後から上昇したが,第2日における,血漿インスリン様成長因子I(IGF-I)濃度の有意な上昇は観察されなかった.血漿IGF-I濃度は,第3日からrbST注入開始前に比べて有意に上昇し,注入終了後まで高い濃度が維持された.第3日から第6日までの夜間(午後5時から翌日午前6時までの13時間)乳生産量はrbST注入開始前に比べて有意に高かった.第4日の夜間から第7日までの昼間(午前6時から午後5時までの11時間)乳腺血流量は,rbST注入開始前に比べて有意に高かった.これらの結果は,乳腺血流量の増加はrbST投与によって上昇したIGF-Iによる乳腺の活性化の原因ではなく,結果である可能性を示唆している.

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