日本畜産学会報
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牛乳の尿素濃度と乳牛の受胎成績の関係
佐藤 博西口 靖彦加藤 寿次
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1996 年 67 巻 1 号 p. 58-63

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抄録

乳牛の繁殖と牛乳の尿素濃度(尿素態窒素,Milk urea-nitrogen; MUN)との関係を解明するため,民間の3牧場において14ヵ月間にわたり毎月1回ずつ個体ごとの牛乳試料を採取した(148頭から延べ1,091点).この間に人工授精された129頭につきMUNと受胎の関係を追跡した.別途,12カ所の牧場においてバルク乳を毎月1回ずっ1年間にわたり採取し,そのMUNと当該サンプル時(月)の受胎率(月間の授精が4頭以上の場合)の関係を調べた.その結果,(1) 個体別のMUNは4~23mg/dlの範囲にあった.MUNが18mg/dl以上の牛では受胎例がなかったが,それ以下においては受胎成績との関係を認めず,乳蛋白質率と受胎成績にも関係がなかった.(2) バルク乳(144例)のMUNは8~16mg/dlの範囲にあり,このうち1ヵ月に4頭以上に授精を行なったのは62例あったが,バルク乳のMUNと受胎率には関係を認めなかった.以上,MUNが18mg/dl以上の乳牛では受胎例がなかったが,バルク乳のMUNが8~16mg/dlの範囲では牛群の受胎率には影響ないものと思われた.

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