日本畜産学会報
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生乳および市販低温殺菌乳における耐熱性細菌の分布
菊地 政則松本 幸子孫 雪梅高尾 彰一
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1996 年 67 巻 3 号 p. 265-272

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抄録

低温殺菌やチーズの品質向上と安全性を確保するため,生乳ならびに低温殺菌乳の細菌叢,とくに耐熱性菌叢の分布を明らかにしようとした.生乳は,北海道のもので,4回の搾乳分を混合し,3-5°Cのバルクミルクタンクに保存されたものである.一方,低温殺菌乳は市販のもので,製造から2日間以内のものを試料とした.各細菌叢の菌数測定は,混釈平板法およびスパイラルプレーターによる表面塗抹法によった.その結果,生乳の生菌数は104-5×104ml-1の範囲であった.グラム陰性細菌数は5×102-5×104ml-1また,乳酸菌数の分布は102-105ml-1と広範囲であった.次に,耐熱性細菌はほとんどのサンプルで102ml-1であり,一部に103ml-1を越すものも見られた.生乳と市販低温殺菌乳の汚染耐熱性細菌叢はBacillusが30.7-33.5%, Microbacterium 26.9-33.7%, Micrococcaceae 17.4-23.4%,であり,他に少数であるが,Streptococcus, Lactobacillus, Actinomycetesが分離された.また,搾乳器具類の中でもミルククローの部分に,一般細菌ならびに耐熱性細菌が高い濃度で汚染されていた.これらの部分における汚染程度は,搾乳器具類の洗浄と殺菌処理の差に影響されるものと思われた.

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