日本畜産学会報
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単一の脂肪酸(カプリル酸,カプロン酸,ラウリン酸,オレイン酸)からなるトリアシルグリセロールの給与がラット肝臓および脂肪組織における脂肪酸合成関連酵素活性に及ぼす影響
鳥居 伸一郎黄 星九松井 徹矢野 秀雄
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1996 年 67 巻 5 号 p. 430-438

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抄録

飼料中に添加した中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(MCT)における鎖長の違いが成長中ラットの脂肪酸合成関連酵素活性に及ぼす影響について検討した.8週齢のウィスター系雄ラットを4グループに分け,それぞれ単一の脂肪酸(カプリル酸;C8:0,カプロン酸;C10:0,ラウリン酸;C12:0,オレイン酸C18:1)からなるトリアシルグリセロールを26%含む飼料で4週間飼育した.その後,肝臓,腎周囲脂肪組織,副こう丸脂肪組織を採取し,脂肪酸合成関連酵素であるグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G-6-PDH),クエン酸開裂酵素(CCE)およびリンゴ酸酵素(ME)の各活性を測定した.C8:0区はC10:0区よりも肝繊におけるG-6-PDHおよびCCE活性が有意に高かった.またC8:0区とC18:1区は肝臓において同程度の酵素活性を示した.腎周囲脂肪組織において,C8:0区のG-6-PDH活性およびME活性は他の3区と比較して高かったが,CCE活性はC10:0区およびC12:0区よりも低かった.副こう丸脂肪組織においては,C8:0区のG-6-PDH活性およびME活性がC12:0区に対して低かった.また腎周囲脂肪組織中のトリアシルグリセロールの脂肪酸組成を調べたとにろ,C10:0区およびC12:0区ではそれぞれC10:0,C12:0の脂肪酸がかなり存在したのに対し,C8:0区の脂肪組織からはC8:0の脂肪酸はほとんど検出されなかった、以上の結果から,飼料源としてのC10:0およびC12:0の脂肪酸は,脂肪酸合成に及ぼす影響の点で,C8:0とはかなり異なる中鎖脂肪酸であると考えられた.

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