日本畜産学会報
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アルファルファサポニン給与によるニワトリヒナの発育阻害
上田 博史角藤 義宜大島 光昭
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1996 年 67 巻 9 号 p. 772-779

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抄録
単冠白色レグホン雄ヒナを用い,アルファルファサポニン給与による発育阻害の原因について調べた.試験1では,カゼインをタンパク質源とする半精製飼料(CP20%)を用いて12日間の飼育試験を行った.1%のサポニン添加は飼料摂取量を減少し発育も阻害した.しかし,1%コレステロールをサポニンと同時に添加すると,飼料摂取量の減少も成長阻害もみられなかった.血清中のコレステロールとトリグリセリド濃度はコレステロール添加で上昇し,サポニンの添加で減少した.試験2では,味覚の影響を避けるために,サポニン0.5gをカプセルに入れて線胃に直接投与し,24時間の飼料摂取量を記録した.飼料摂取量はサポニン投与で低下したが,等量のコレステロールをカプセルに入れてサポニンと同時に投与するか,あるいはサポニン投与後,1%コレステロール添加飼料を与えると飼料摂取量は低下しなかった.試験3では,酸化クロムを添加した飼料を強制給餌し,酸化クロム排泄量を24時間測定した.サポニン添加飼料の給与で,酸化クロム排泄量は対照区の約50%に減少した.また,強制給餌終了後,12時間絶食したにもかかわらず,サポニン添加区では飼料が〓嚢に停滞し,これらのヒナにサポニン無添加飼料を自由摂取させても,飼料摂取量は増加しなかった.しかし,コレステロールをサポニンと同時に給与すると酸化クロム排泄量も対照区と同じ程度に増加し,自由摂取下でのサポニン無添加飼料の摂取量も対照区と差がなかった.以上の結果から,サポニン給与による発育阻害とコレステロール添加による緩和効果は飼料摂取量に依存するが,飼料摂取量の変動は味覚の影響を受けず,飼料の消化管内通過速度と関連していることが示唆された.
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