1997 年 68 巻 11 号 p. 1045-1051
ブタ排泄物およびニワトトリ排泄物のコンポスト形成過程から難分解性の悪臭物質インドールおよび3-メチルインドール(スカトール)を嫌気的に分解する微生物の動態解析を行った.インドール分解菌,スカトール分解菌ともに発酵過程(高温期)よりも前処理過程(中温期)および製品コンポストに菌数が多いことが示された.また,好熱性のインドールもしくはスカトール分解菌はいずれの処理過程からも検出されなかった.これらの化合物の分解菌を92株分離したところ,通性嫌気性グラム陽性球菌,通性嫌気性グラム陽性桿菌,通性嫌気性グラム陽性芽胞桿菌,偏性嫌気性グラム陽性芽胞桿菌の4タイプの菌群に分類された,分離株の大部分(67-91%)は通性嫌気性菌であった.分離株はすべてインドール分解能を有していたが,スカトール分解能を有する株は8株のみであった.8株のスカトール分解菌の中で3株が偏性嫌気性菌であり,これはスカトール分解能を有する偏性嫌気性菌の存在を初めて明らかにするものである.