日本畜産学会報
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ミトコンドリアDNAシトクロムb遺伝子の塩基配列解析によるヤギ族野生原種と家畜種の系統類縁関係
荒井 勝己宗近 功伊藤 勇夫吉川 昭雄中村 耕二郎金澤 卓弥小杉山 基昭
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1997 年 68 巻 2 号 p. 148-155

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抄録

家畜ヤギの野生原種とされるパサン(Capra aegagrus)とマーコール(Capra falconeri),家畜ヒツジの野生原種とされるムフロン(Ovis musimon)のミトコンドリアDNAシトクロムb遺伝子の全塩基配列(1,140bp)を決定し,塩基配列多型を利用して家畜種との系統類縁関係について検討した.まずヤギとヒッジに共通性の高い配列のプライマーを6種類用意してPolymerase chain reaction法を用いてDNAを増幅し,Dideoxy terminator cycle sequence法による直接法で塩基配列を決定した.決定した3種の野生種とそれぞれの家畜種との間で異なっていた塩基数は1,140bp中パサンと家畜ヤギの間で7塩基,マーコールと家畜ヤギの間で39塩基,ムフロンと家畜ヒツジの間で8塩基で,ホモロジーはそれぞれ99.4%,96.6%,99.3%であった.さらに,決定した塩基配列に基づいて近隣結合法により分子系統樹を作成した結果からも,パサンと家畜ヤギ,ムフロンと家畜ヒツジが極めて近縁であること,およびマーコールもパサンと比べ離れた位置ではあるが家畜ヤギと近縁であることが確認された.

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