日本畜産学会報
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異なる衛生状態または免疫刺激条件下におけるブロイラーの免疫応答に対する生菌剤給与の影響
高橋 和昭秋葉 征夫松田 敦郎
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1997 年 68 巻 6 号 p. 537-544

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抄録

異なる衛生状態または免疫刺激条件下のブロイラーにおける免疫応答に対する生菌剤(Bacillus CIP 5832)給与の影響を検討した.免疫ストレス源として,汚い環境ときれいな環境を設定した.汚い環境は,清浄でないケージおよび水飲み,堆積した糞,埃などに継続的に暴露するにとにより作成した.初生の雄ブロイラーをこれらの環境で23日齢まで飼育し,試験終了16時間前に大腸菌のリポ多糖(LPS)を腹腔に500μg投与した.また,0または50mg/kg (5×108cfn/kg)のBacillus cereus CIP 5832 (B.cereus)を試験期間中給与した.結果として,汚い環境で飼育したブロイラーの増体量と飼料摂取量は低下した.B. cereus給与は汚い飼育環境で低下した飼料効率を改善したが,増体量と飼料摂取量に対する作用は観察されなかった.汚い環境で飼育したブロイラーの脾臓リンパ球増殖反応はきれいな環境のブロイラーと比較して低下した.B. cereus給与は低下した脾臓リンパ球増殖反応を回復させた.汚い飼育環境でのブロイラーの血漿インターロイキン(IL)-1活性はきれいな飼育環境に比較して高い傾向にあり,LPSを投与されたブロイラーでは,汚い飼育環境での血漿IL-1活性の増加は有意であった.また,B. cereus給与はLPSを投与されたブロイラーで,増加した血漿IL-1活性を有意に低下させた.にれらの結果は,飼育衛生状態がブロイラーの免疫応答に影響を及ぼすこと,LPS投与はこの影響を増幅すること,B. cereus給与は免疫刺激による免疫応答を改善することを示唆している.

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