日本畜産学会報
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未脱脂米糠を給与した去勢牛における脂肪酸の反芻胃内消長と小腸内消化
家木 一趙 胤谷口 幸三小櫃 剛人
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1997 年 68 巻 9 号 p. 860-868

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抄録

去勢牛への未脱脂米糠給与に伴う消化管内における脂質動態を検討するために,第一胃,十二指腸上部および回腸末端にカニューレを装着したホルスタイン種去勢牛を常い,生米糠,加熱米糠,脱脂米糠およびフスマの各副産物を給与(試験1)し,さらに加熱米糠の配合割合を変え(試験2),長鎖脂肪酸の及芻胃,小腸および大腸での消長と反芻胃内菌体による取り込みを調べた.脂肪酸の十二指腸移行量は未脱脂米糠(生米糠,加熱米糠)の給与で増加した、反芻胃内菌体の脂肪酸含量と菌体脂肪酸の十二指腸移行量はともに来脱脂米糠の給与で増加したが,十二指腸へ移行した脂肪酸に占める菌体脂肪酸の割合は未脱脂米糠配合区で低下した.反芻胃内でのC18不飽和脂肪酸の水素添加率は未脱脂米糠を給与することによって高くなった.未脱脂米糠給与時における総脂肪酸の小腸内での真の消化率は61.6%と推定されたが,見かけの小腸内消化率は未脱脂米糠の無給与時に比べて著しく低かった.これは,未脱脂米糠の給与によって,C16:0とC18:0の十二指腸移行量が増加し,これらの脂肪酸では移行量の増加に伴って小腸内消化率が低下することに起因していた.

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