日本畜産学会報
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ナイアシン添加飼料給与が肥育ヒツジの肉色の変化に及ぼす影響
成瀬 治己松井 徹藤原 勉
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1998 年 69 巻 7 号 p. 646-652

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抄録

屠殺後生肉の肉色変化(退色)を制御するための方法として生体時に抗酸化剤を添加給与した場合の効果について検討するため,抗酸化作用を有するナイアシンを肥育ヒツジに投与し,その生肉の冷蔵保存中における肉色保持効果について調査した.胸最長筋,大腰筋および大腿二頭筋の挽肉およびスライス肉サンプルを調製し,それらの冷蔵保存中(4°C,2週間)におけるミオグロビン(オキシおよびメト)濃度(挽肉)および色差計による肉色(スライス肉)を経時的に測定した.I) ナイアシン投与区の大腰筋では,7日目のメトミオグロビン濃度の上昇が,対照区のそれに比して,著しく抑制された.しかし,胸最長筋および大腿二頭筋中のミオグロビン濃度の経時変化には両区間で明らかな差は認められなかった.II) 色差計による肉表面の明度(L),赤色度(a)および黄色度(b)の経時変化では,ナイアシン投与区および対照区の間で次のような結果が得られた:1) 赤色度については,胸最長筋の7および9日目で,大腰筋の1および9日目で,また大腿二頭筋の5,7,9および12日目で有意差(P<.05)が認められた.2) 黄色度については,胸最長筋と大腰筋の9日目で有意差(P<.01)が認められた.3) 明度については,両区間に顕著な差は認められなかった.以上の結果から,肥育末期におけるナイアシンの添加給与は,ヒツジ生肉の肉色保持に対して有効であることが示された.

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