日本畜産学会報
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温風乾燥処理した厨房残さのブタにおける飼料利用
渡辺 千春谷 浩藤田 耕冨家 武男吉田 栄治二階堂 隆友
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2001 年 72 巻 10 号 p. 542-550

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抄録

厨房残さの温風乾燥処理物について,養豚用飼料としての実用性を検討した.130°Cで約10時間乾燥処理した厨房残さは,基礎飼料として用いた市販飼料(くみあい配合飼料)に比べ,粗タンパク質(CP),粗脂肪,粗灰分含量が高かったが,CP消化率は55%と低かった.3ヵ月間の常温保存で過酸化物価が16.9から36.5meq/kgに上昇し脂肪の酸化が示唆された.体重30kgの育成豚16頭を供試し,給与CPの10,25,50%が処理物由来CPとなるよう基礎飼料に配合した3試験区と,基礎飼料のみの対照区により,1区4頭の群飼,不断給餌•自由飲水で体重110kgまで飼養試験を実施した.50%区は飼料摂取量,平均体重が低く,枝肉背脂肪における不飽和脂肪酸の割合が有意に高かった.10%区と25%区は対照区と差がなく,排泄糞の臭気への影響もなかった.以上の結果から,温風乾燥処理した厨房残さは飼料原料としてCP代替レベルで25%(原物配合割合20%)程度の配合利用が可能であると考えられる.

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