近年春の開花が早まり、秋の紅葉が遅くなるなど植物季節に変化が見られるが、都市部では地球温暖化だけでなく、ヒートアイランドの影響も考える必要がある。そこで開花日に及ぼす都市の高温化の影響評価を目的として、2001年春に埼玉県熊谷市でソメイヨシノの開花日と同時期における気温の観測を行った。その結果、開花日の分布は都心の高温域で早く、郊外の低温域で遅い傾向がみられた。また翌2002年春、花芽の成長を観測し気温と比較した結果、熊谷地方気象台では郊外より開花日までの有効積算温度が高く、花芽の成長が早い傾向がみられた。よってヒートアイランドが開花日に影響を与えていることが明らかとなった。また観測で得た熊谷地方気象台と郊外における開花日と3月平均気温との関係を、熊谷地方気象台における経年的な関係に置き換えて評価した結果、都市の高温化による開花日の早まりは3日程度であることが推察された。