本稿では、気温変化傾向の季節性とその影響の代表例として、過去の気候変動および将来の気候予測に見られる月ごとの違い、これまで長期変動解析があまり行われていなかった日射量の変動、およびそれらと関連した水稲生産における栽培ステージ(栽培ごよみ)の変化とその栽培ごよみを用いた温暖化に対する適応策について、これまでの研究成果をとりまとめ、展望した。近年の高温により水稲の登熟期は早まる傾向にあり、夏季の最高温時期に登熟を迎えるために高温不稔を誘発しやすいこと、および登熟期間の短縮により十分な日射が確保できず品質等にも影響すること等に関する研究の進展は、地球温暖化の水稲の生育・栽培・生産などに及ぼす影響を予測・検証する場合、重要な基礎的条件となる。