地球環境
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ケニアにおける野生生物保全のための教育の現状と課題
中川 宏治
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2013 年 18 巻 2 号 p. 177-188

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抄録

アンケート調査の結果、ケニアの大都市住民と公園周辺の地方住民の間には、野生生物保全および経済発展に関する認識に差があり、また、大都市住民は地方の野生動物の問題を正しく把握しているとはいえないことが分かった。また、KWS(Kenya Wildlife Service)との情報交換については、多くの住民が不十分と回答しており、獣害問題の対応はKWSが行うべきであると強く認識している。日本は、今後もケニアの保全教育に関して、学校教育および社会教育の側面から支援を継続する必要があろう。学校教育に関しては、野生動物に対する多様な視点を養う教育が求められる。社会教育では、大都市住民と地方住民の間にある情報量や知識の差を縮減することが重要であり、そのためには、KWS以外のNGO等の組織によるアウトリーチプログラムの内容を改善していくことが必要である。また、保全教育と並行して、地域活性化のための経済対策や動物被害調査などを組み合わせた複合的アプローチが必要である。

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© 2013 一般社団法人国際環境研究協会
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