山岳生態系は気候変動に対して最も脆弱な系であり、地球環境変化の生態系への影響を検出するのに適している。これまでに、世界各地で生物の生理的応答、季節応答、分布域の変化など多くの事例が報告されており、種の絶滅、個体群衰退、多様性の減少、植生変化の進行が明らかである。しかしながら、山岳地域における気象データの集積は大変乏しく、生態系変化を引き起こしている要因解析のためには、地域特有の生育環境変化のモニタリングが必要である。これまでに報告された国内外の山岳生態系の変化を概説し、気候変動下にある山岳生態系の生態系監視システムの構築と保全管理計画策定に向けた提案を行った 。