2022 年 27 巻 1 号 p. 31-40
福島県新地町において著者らが実施した電力消費量のモニタリングと地域エネルギー解析の事例を紹介し,地域エネルギーシステムの地域展開のポテンシャルを評価するためのエネルギー消費量の予測手法について検討した。新地町では国立環境研究所と基本協定に基づき,東日本大震災後の復興過程において省エネルギー行動支援等の機能を有する情報システムの導入や,拠点エリアにおける電熱併給型の地域エネルギー供給の導入など,地域エネルギーを活用した復興まちづくりを推進してきた。その一環として著者らは工場や水処理センター,住宅を対象とした詳細な電力消費モニタリングを実施し,現状把握や予測モデルの開発,各種の効率化に向けた評価などの研究を行った。さらに,住宅における電力消費量のデータを活用し,地域エネルギー事業の水平展開に向けた計画評価のための電力需要の予測手法を構築し,気温分布を踏まえて福島県全域に拡張した需要予測を行った。