フルオロカーボン類の温室効果能力は大きく,わずかな量を大気中に排出しただけで,多くのCO2 を排出したことと同じ意味を持つ。本研究では,非CO2 温室効果ガスであるフルオロカーボン類に注目し,まず,それらの利用背景,温室効果の大きさ, 及び国際条約や国内規制の動向と課題を整理した。次に,我が国が直面している冷媒フロン類の問題に注目し,カーボン・ニュートラル目標にむけて期待される主な対策とその障壁,回収・破壊処理対策によるCO2換算削減量及び費用対効果について分析した。温室効果ガス排出量インベントリの報告対象であるハイドロ・フルオロカーボン(HFCs)だけでなく,報告対象外であるクロロ・フルオロカーボン(CFCs)及びハイドロ・クロロ・フルオロカーボン(HCFCs)にも注目し,これらを一体的にみて 排出削減対策を評価し,我が国における対策の強化及びアジア途上国への支援を進めていく必要がある。