2023 年 27 巻 3 号 p. 243-252
幅広い製品に使用されているリン酸エステル系難燃剤(PFRs)について,複数の地方環境研究所との共同研究等により,国内水環境における実態調査を実施した。5 都市(東京都,名古屋市,大阪市,兵庫県,福岡県)33 河川等の公共用水域水質において,8 種類のPFRs が検出下限値未満~1,400 ng/L で広範囲に検出された。全体的に含塩素のリン酸トリス(2-クロロエチル)(TCEP),リン酸トリス(2-クロロイソプロピル)(TCPP),リン酸トリス(2-ブトキシエチル)(TBOEP)の3 種の濃度が高く,特に下水処理水の影響を受けやすい地点等において,高頻度で検出される傾向が見られた。また,リン酸トリス(1,3-ジクロロ-2-プロピル)(TDCPP)については,予測無影響濃度(PNEC)を超える地点が確認されるなど,国内公共用水域水質におけるPFRs の濃度レベルや組成等の汚染実態を明らかにした。