本稿では,災害時における自助・共助を念頭に,自然災害の地理的特性に着目した防災マップ作成活動の可能性と課題について議論・検討した。防災マップ作成活動は北海道石狩市における水害・土砂災害をテーマに,講義やフィールドワーク,プレゼンテーションによって実施された。マップ作成活動は,自治会,小学校から14名の参加者(小学生3名を含む)を得て,2016年8月27日に行われた。参加者へのアンケート調査や作成された3種類の防災マップ,プレゼンテーションから得られたデータの分析の結果,マップ作成活動が防災に関する個人の知識や経験を住民間で共有することを促進することが示された。ただし,自然の恵みとしての側面とともに災害を引き起こす素因としての側面をもつ地域の自然/建造環境と地域の災害特性との関係に対する住民の理解は依然として十分ではなく,長期的な視点に立った防災教育に課題も残されている。