地理科学
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短報
  • 田中 健作
    原稿種別: 短報
    2020 年 75 巻 1 号 p. 1-18
    発行日: 2020/02/28
    公開日: 2020/04/03
    ジャーナル 認証あり

    本稿では,徳島県上勝町に住む高齢女性の日常生活におけるモビリティの実態について,バス交通からの遠隔性の程度に着目して検討した。

    1990年代以降は加齢による自分自身を含む世帯内モビリティの縮小により,交通サービスや他者のサポートの役割は高まった。これらは遠隔性の影響を受けやすく,モビリティ利用には地域的な差異が生じていた。この下で遠隔性の高い地域ほど,遠隔性の高い地域では交通サービスそのものの不足が顕著であり,モビリティの質を高めるためにより多くのモビリティを組み合わせて生活を営む必要があった。遠隔性の低い地域については,交通サービスやインフォーマルなサポートを相対的に受けやすい環境にあり,それゆえ利用するモビリティの数は少なくて済むものの,交通サービスを補完するインフォーマルなサポートの不安定さといった問題は残されていた。これらのため,上勝町全体として,高齢者モビリティの安定性や質,外出機会を高めうる交通サービスの構築が求められていると考えられる。

フォーラム
  • ――日本におけるスポーツの地理学的研究のレビューから――
    和田 崇
    原稿種別: フォーラム
    2020 年 75 巻 1 号 p. 19-32
    発行日: 2020/02/28
    公開日: 2020/04/03
    ジャーナル 認証あり

    本稿の目的は,スポーツと地域活性化について,スポーツ社会学やスポーツ経済学など隣接領域の研究成果も参照しつつ,日本の地理学的研究の動向とそこで提起されてきた主な論点を整理し,今後の研究充実に向けた課題を提示することにある。日本では近年,スポーツが地域活性化の手段として用いられてきた。周辺地域では高度経済成長期からスポーツによる開発事業が本格化し,積雪山村にはスキーリゾート,海浜地域にはマリンリゾート,都市郊外にはゴルフ場が建設された。都市では1990年代以降にスポーツを手段とした都市再生戦略がブームとなり,スポーツ施設の建設・更新,クラブ・チームの立地とホームタウン活動,メガイベントの招致・開催などが行われてきた。これらは,当該地域に一定の経済効果をもたらしたほか,地域イメージの向上に貢献したり,住民が再結集する機会を提供したりした。しかし一方で,スポーツによる地域開発は,大規模な施設建設を伴うことから,自然環境を破壊したり,住民の生活環境にマイナスの影響を与えたりした。今後は,「スポーツ=地域活性化手段」という一面的な捉え方でなく,スポーツのもつ力,スポーツの果たす役割を現場から検証し,学界内はもとより政策立案者とも共有する必要があろう。

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