地理科学
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論説
  • ――「環境パートナーひろしま」構成団体の事例から――
    淺野 敏久, 前田 恭伸, 森 保文, 犬塚 裕雅
    原稿種別: 論説
    2024 年 79 巻 1 号 p. 1-23
    発行日: 2024/05/28
    公開日: 2024/06/07
    ジャーナル 認証あり

    新型コロナウィルスの感染拡大は,社会に大きな変化をもたらした。それは環境問題に関わる市民団体の活動においても同様であった。本稿では,コロナ禍への市民団体の対応,特に広島県内の環境市民団体の対応を事例として,コロナ禍が環境市民団体にいかなる影響を与えたのかを明らかにし,それをもとに「情報化社会の地理学」の視点からとらえた地理学における環境運動研究の課題を提示することを目的とする。環境市民団体にとって,コロナ禍への対応とは,すなわち情報化への対応であった。しかし,日本の環境団体にとって,ICTの活用は「動員の革命」といわれるようなネットワークを外に広げて,運動を拡大させるものではなく,それまでのクチコミ的ネットワークを代替し,組織運営を維持させるものとして機能する内向きのものであった。コロナ禍は,情報化への対応を否応がなく求めるものであって,これまで継続されてきた環境市民団体を情報化対応できるか否かで淘汰するきっかけとなりうるものであった。環境運動研究において,情報化対応という視点などから,運動体の存続に注目する研究や,環境運動におけるリアルスペースとサイバースペースの関係に注目する研究など,今後,深めていく必要がある。

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