中部日本整形外科災害外科学会雑誌
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症例報告
RS3PEに対する外科的治療を行った1例
守屋 円児島 新飯田 寛和
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2009 年 52 巻 5 号 p. 1071-1074

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抄録

寛解傾向があり圧痕浮腫を伴う血清反応陰性対称性滑膜炎症候群Remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema(RS3PE)は, 1)きわめて突然の発症, 2)両側性対称性の滑膜炎であり, 著明な圧痕浮腫を伴う手首, 手根骨, 屈筋腱鞘に好発する対称性の滑膜炎(グローブ様の手), 3)男性で60歳以上に優位に発症, 4)リウマチ因子が一貫して陰性, の特徴を有する. 今回私たちは上記のRS3PEの診断基準をほぼ満たす症例に遭遇した. 本症例は高度の屈筋滑膜腱鞘炎のためソーセージ様外観の指を呈した. 外科的治療法として腱鞘滑膜切除術, 腱剥離術を施行した. 腱鞘滑膜炎についての肉眼的, 所見は特徴があった. 腱鞘周囲の軟部組織の浮腫が高度であることなど典型的リウマチの所見とは明らかに異なっていた. 術後, 屈筋腱鞘へのステロイド注入と作業療法との併用により徐々に可動限が改善され患者の満足できる結果が得られた.

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© 2009 by The Central Japan Association of Orthopaedic Surgery & Traumatology
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