中部森林研究
Online ISSN : 2759-1522
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三重県野登山におけるブナ天然林の現状について
外園 哲太鳥丸 猛 板谷 明美松村 直人
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2024 年 72 巻 p. 34-39

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抄録
三重県の野登山ブナ天然林において,成木の毎木調査,ブナ実生の消長調査,林床の環境状態,および成木集団の遺伝的多様性を調査した。その結果,18種が出現し,幹密度は1760本/ha,胸高断面積合計は52.9 m2/haであった。胸高直径30 cm以上のブナの大径木が点在していたが,小サイズの後継樹は認められなかった。0.84本/m2のブナの当年生実生が観察され,それらは湿潤な土壌上やアセビが被覆している場所に多く出現したが,翌年には多くの個体が環境状態と関係なく死亡して0.02本/m2にまで減少した。一塩基多型による分析の結果,野登山のブナ成木集団は,三峰山(三重),段戸山(愛知),白山(石川・岐阜・福井)の成木集団よりも高い近交係数が認められた。
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© 2024 中部森林学会
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