抄録
ニホンジカ(以下,シカ)による農林業被害が広がり,森林管理上問題になっている。そこで,シカの捕獲で実績を上げているくくりわなを使用し,その誘引餌として家畜用飼料であるアルファルファヘイキューブ(AH)を利用した。本研究の目的は,シカがAHを視覚的に確認し,かつ湿気にくいよう透明なビニール袋に入れた上で,シカの注意を上に向けるために口が届きにくい高さに吊るす誘引方法を検討することである。シカが直接撒いたAHを採食してから袋入りAHを立木に吊るすより,AHを直接撒くと同時に袋入りAHを立木に吊るすことで,吊るした袋入りAHを採食するまでの期間を従来より5~8日短縮できた。今後は,吊るした袋入りAHとシカが食べる際の足の位置の関係を調査することにより,的確なくくりわなの設置位置の検討することが必要であると考えられた。