2013 年 2013 巻 260 号 p. 132-150
本研究は、〈知覚動詞-不得〉が許容・受容という側面に言及し、心理的に知覚した事物を受け入れるのが困難であるという心理的不許容の意味を表すことを主張する。その意味とは、「主体が許容或いは受容している事態に対して、主体の性格・性質として現れる心理・心情的な要因により、知覚を受け入れられないという主体の恒常的な感情を表す」と記述できる。この意味記述は、「感覚主体+知覚動詞-不得+知覚対象」という構文を必ず取り、主題化することはできない。また、目的語として主述句を用いることができる。更には、心理上の抽象的活動を表す動詞と共に用いられる副詞〈最〉と共起し得るが、文末助詞の〈-了〉とは共起することができないという諸特徴と関連している。これらの諸特徴は、〈知覚動詞-不得〉と類似した意味を表す〈知覚動詞-不了〉及び〈知覚動詞-不下去〉と比較・対照することで得られたものである。