CIEC春季カンファレンス論文集
Online ISSN : 2759-5196
Print ISSN : 2435-3418
スマートフォンで撮影した360度全天球画像のVRツアーにおける学習教材開発の可能性について
‐LiDARデータの有無によるVR画像内での距離測定活動の比較‐
布施 雅彦
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2025 年 16 巻 p. 7-14

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抄録

 360度カメラの登場により,360度全天球画像(以下VR画像)の撮影が容易になり,現実世界の事象を仮想空間で再現するデジタルツインが身近なものとなった。そして,今後教育の現場でもその活用が広がると予想される。従来の活用方法の大半が映像の視聴に限られていたが,技術の進歩によりVRコンテンツ内で長さを測ることが可能となった。これにより,視聴するだけの活動にとどまらず,仮想空間で長さを計測する教育活動が可能になると考えられる。

 また,高価なVR専用カメラではなく,教員や生徒が日常的に利用しているスマートフォンのカメラを用いてVR画像を制作し,教員や学生に測距活動を行わせ,その精度を分析した。さらに,スマートフォンのLiDAR機能を利用したVR画像と利用しないVR画像の測距精度も比較した。撮影条件にもよるが,どちらのVR画像でも測距精度の誤差は±10%程度と,特にLiDAR有りのVR画像の精度は非常に高い。また,LiDAR無しのVR画像においても,その目的や特徴を理解すれば,十分に教育活動に利用できることがわかった。

 Covid-19の影響で校外観察などに制限がある中,VRツアーによる擬似体験活動の機会が増え,VRでの観察が進んだ。今後は,さらに測距可能な実習を加えたVRコンテンツの制作と授業での体験がより身近になると考えられる。

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