文部科学省が2023年7月に公表した「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」(以下,ガイドライン)[1] では,小中高で生成 AI を活用する際には,情報の真偽を確かめること(ファクトチェック)の習慣付けを含め,情報活用能力を育む教育活動を充実させ,AI 時代に必要な資質・能力の向上を図ることが必要であると述べている。学校での使い方については,「限定的な利用から始めること」としているが,生成AIは,新たな発想や創造性を刺激することや,従来には考えつかなかったようなアイデアを生みだすことが期待できる。また,生成AIを活用することで,情報活用能力を高めることや,情報の真偽を確かめる力の育成もできるのではないかと考えた。そこで本稿では,生成AIの活用について,3年生の授業において,生徒に生成AIの使用を選択させ,提出された課題の内容を分析・整理し,生成AIの活用状況をまとめた。その結果,生成AIを使用して提出されたレポートには言葉に偏りがあることが発見され,クロス集計により生徒の満足度が高いレポートは,複数回生成させたり,指示文をよく考え使用することで生徒自身,満足度の高いレポートになることがわかった。
本研究では,プログラミング学習において生成AIを活用して自力解決を目指す学習者に着目し,①生成AIからのフィードバックを要求するプロンプトの分類を作成して,②プログラミング学習での教育的実践に適用し,学習者と生成AIとのやり取りを評価することを目的とする。これを達成するために,高校2年生が生成AIに要求したプロンプトを対象に,大谷(2022)(1)のSCAT(Steps for Coding and Theorization)を適用し,プロンプトの分類を行い,大分類3つと中分類6つと小分類8つに分けることが出来た。次に,本研究で作成した分類を習得的なプログラミング学習と探究的なプログラミング学習にそれぞれ適用し,その実践を評価した。前者に適用した所,教師が設定した学習課題そのものの良し悪しを検討することや,生徒の到達度評価に転用できることの可能性を明らかに出来た。また後者に適用した所,学習者の課題の進捗状況を評価できる可能性が明らかとなった。今後の課題としてより多くの学習者が参加する実践に対して,本研究で作成した分類を適用する必要がある。