抄録
分子内[2+2+2]反応は実験、理論両面から注目されているが、その反応機構に関しては十分な理解が得られていない。そこで本研究では、分子内[2+2+2]反応の反応機構を明らかにするために、トリシクロプロパシクロヘキサン(TPH)、トリシクロブタシクロヘキサン(TBH)からの開環反応をモデルとし、分子軌道法を用いて理論的に解析を行った。なお、それぞれの系において、反応物には複数の構造異性体が存在するため、各構造異性体を反応物とする開環反応経路を全て求めた。反応点をとりまく炭素環の大きさや分子中央の六員環に付いた水素の向きと反応性、反応機構との関係を報告する。