抄録
医薬品が薬物標的と結合する際、疎水性効果は重要な役割を果たす。ホウ素含有系のカルボランは、医薬品における疎水性部位として機能することが期待されている。一方で分子力学法においてはホウ素関連の力場パラメータが十分に用意されていないことも多く、古典力学的手法によるドラッグデザインには制限がある。そこで本研究では量子化学計算の結果に対するフィッティングによってカルボラン骨格に関連するAMBER力場パラメータを算出した。カルボランは多面体型の構造をとっているため、伸縮や二面角の回転について独立に行うことはできず、構造をわずかずつ動かした構造を作成し、それら全ての量子化学計算を行った。そして角度や距離といった構造的特徴を説明変数とし、量子化学計算によって得られたエネルギーを的変数とした重回帰によってパラメータを算出した。