主催: 日本化学会情報化学部会
共催: 日本薬学会, 日本農芸化学会, 日本分析化学会, 日本コンピュータ化学会
会議名: ケモインフォマティクス討論会
回次: 39
開催地: 浜松
開催日: 2016/09/29 - 2016/09/30
p. O19-
警察による犯罪捜査においては、現場に遺留された生体由来資料を採取し、その科学分析によって被疑者の特定が図られる。中でも血液を始めとする体液は頻繁に遺留される資料であり、体液種の識別は捜査上不可欠なものである。現行の生化学的検査法に対し、近年では非破壊かつ簡便という利点を持った分光分析による体液種識別法への注目が高まっている。しかし、生体試料のスペクトルは複雑かつ類似部分も多いため、十分な識別精度を得られる解析法の開発が求められている。本研究では、赤外スペクトルとPartial Least Squares-Discriminant Analysis(PLS-DA)の利用により、生体血と死体血の識別に取り組んだ。さらに、これまで困難とされていた斑痕状態の血液試料の識別を目指し、多変量スペクトル分解法による担体由来シグナルの除去を試みた。結果、血痕スペクトルからの血液由来シグナルの適切な取り出しと、PLS-DAモデルでの成分数の選択により、良い識別精度が得られることを示した。