抄録
産業プラントの安全かつ安定的な運転のためにはプラントの運転状態を監視しなければならない。プラントにおける異常の検出には主に主成分分析が用いられてきたが、プロセス変数間の関係が非線形の場合およびデータ分布が複数である場合には対応できなかった。さらに、異常を検出できたとしてもその状態を推定することは困難であった。そこで本研究ではアンサンブル学習を活用することでプラントにおける異常を検出し、さらにその状態を推定する手法を開発した。時間をずらした複数のデータセットをして、それぞれ主成分分析により異常検出モデルを構築する。新しいデータがどのモデルで異常検出されたかの情報に基づいて状態推定を行う。提案手法の有効性を確認するため、化学プラントを模倣した数値シミュレーションデータを用いて、異常の検出能力およびプロセス状態の推定性能を検討する。