抄録
医薬品開発に際して日米欧から様々なガイダンスが発行されている。2012年に発行された薬物間相互作用(DDI)に関するFDAドラフトガイダンスには,CYP阻害,誘導に関する詳細な検討方法及び評価方法が記載されており,注目を集めている。この時,製薬企業にはガイダンスを遵守した申請資料を作成するだけでなく,事前にDDIを回避した薬剤の創出が望まれる。そこで,本発表では,ガイダンスに基づいた課題の設定を行い,分子力学手法を基にしたCYP阻害,誘導の計算化学手法を紹介する。CYP誘導については,多くの薬剤の代謝に関与するCYP3A4の誘導に注目して,その原因酵素であるpregnane X receptorを用い,MDシミュレーション,MM-GB/SA及びCoMFAによる定量的構造活性相関モデルに関する最新の研究成果を報告する。