抄録
粗視化モデルは計算効率を向上させ、巨大分子系に対する広範囲かつ長時間スケールの計算を可能とする。しかし、粗視化モデルによる効率性とともに、全原子モデルの詳細な情報が必要となる。我々が開発している粗視化ドッキング手法では、予測結合部位はペプチドのCα構造として出力されるため、高精度な解析を行うには全原子モデルへの変換が必須である。本研究では、結合部位の粗視化ペプチドから全原子構造を構築するCBRM(Conformation-based Reverse Mapping)法を開発する。複合体結合部位におけるペプチドの多様な立体構造に対応するため、網羅的な配座探索により完全なトリペプチド配座DBを作成し、全原子構造のテンプレートとして用いた。CBRM法は配座DBを組み合わせることで、任意の残基長の粗視化ペプチドを全原子立体構造へ変換することが可能である。また、CBRM法で予測される全原子モデルの精度を向上させるための新たな粗視化モデルの検討も行った。