ケモインフォマティクス討論会予稿集
第41回ケモインフォマティクス討論会 熊本
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口頭発表
TMAOにより誘発されるその周囲の水の特異性に関する理論化学的研究
*蔵本 裕哉赤瀬 大相田 美砂子
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p. 2C02-

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抄録

トリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)は代表的な浸透圧調節物質として広く知られているが、未だ浸透圧調節のメカニズムの解明には至っていない。TMAOの浸透圧調節機構においては、TMAOがその周囲の水分子に与える影響が重要な役割を果たしている。本研究では、TMAO分子をQMとして扱うQM/MM-MDシミュレーションを行った。その結果、TMAOの酸素原子周りの水の密度は、バルクの水の密度の20倍近くであることが見出された。これは、TMAOのO原子に特異的に水分子が配位していることを示している。また、TMAO分子から半径6Åの球の中に含まれる水の密度を計算したところ、0.99 g/cm3であった。すなわち、TMAO分子の排除体積があるにもかかわらず、バルクの水とほぼ同じ密度を示す。また、6Å以上離れた部分の水は、バルクの水とほぼ変わらない。以上のことからTMAOによって排除された水分子は系全体に分布するのではなく、TMAOに近いところに、水分子が非常に密に存在していることが明らかとなった。

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