我々は、電子相関を高精度かつ低コストに扱う手法を開発するためにインフォマティクス技術に注目し、機械学習型電子相関モデルを構築した。このモデルは結合クラスター理論の完全基底極限 (CBS) における相関エネルギー密度を目的変数とする。目的変数を得るために、当研究室で開発されたグリッドエネルギー密度解析および複合法によるCBS極限の見積りを活用した。記述子には、密度汎関数理論 (DFT) における相関汎関数と同様に電子密度や密度勾配などを用いた。機械学習の手法として多層ニューラルネットワークを採用した。数値検証の結果、我々の相関モデルは比較的小規模な基底関数で高精度な電子相関エネルギーを再現することがわかった。さらに、Hartree−FockエネルギーのCBS極限と組み合わせることで化学反応における反応エネルギーを計算し、DFT計算を凌駕する精度を確認した。